- 後輩を教育する立場にいる人
- 教える側に立つには何が必要かを把握したい人
- 部下に慕われて信頼される上司になりたい人
教える立場に立つ時、どうせやるなら部下から慕われて頼られる存在になりたいと思いませんか?
我々は〈人に教えるにはどうすればいいか?〉を学校では習いません。
これまで自分の中に蓄積されてきた経験をもとにして指導するしかないので、手探りな【教育】をしていく方がほとんどなのではないでしょうか?
なるけん
社員の【教育】に携わらせてもらう中でたくさんの成功と失敗を積み重ねてきました。
その中で『これは、どんな状況においても必要だな』と感じる【教育の土台】になるものがあるなと感じるようになりました。
今日は、教育する側が身につけておきたい〈1つの力〉について解説していきます。
目次
教育者には【分解力】が必要。
何かを新しく覚えるとき、誰もが〈言葉〉というツールを使います。
書籍に書かれた〈言葉〉を見たり、先生から口頭で〈言葉〉で説明を受けたりしますよね。
僕は新しいことを吸収していくのが得意なのですが、覚える時には必ず細かく〈メモ〉を取ります。
なるけん
新しい技術を覚えるときにどんなメモを取っていたかを振り返ると、いつも【自分が理解できる大きさまで細かく手順を書いたメモ】に書き起こしていました。
『大根はこんなふうに切って』と言われた時は
- 5cmくらいずつ輪切りにして、かつらむきする。
- 刃先を立てて、幅8mmくらいで、手前に引くように切る。(そうすると切ったものが倒れにくい)
- 大根を90度回転させ、幅8mmくらいで、刃をまっすぐ下に下ろすように切る。(手前や奥に包丁を滑らすと切った大根が刃につきやすい)
みたいに書いていました。
指示自体は『大根はこんなふうに切って』という小学生でも理解できる簡単な〈言葉〉です。
ですが、それを再現しようと思ったら〈1つ1つを小さな要素に分ける〉という作業が必要になります。
小さな要素に分解して積み重ねていくことで、初めて〈技術〉になって自分に染み付いていくんです。
自然にこれらをできるようになる人もいますが、僕の体感では〈自分で要素を分解できる人〉はそんなに多くないです。
なので、教えてあげる立場の人が【相手が理解して飲み込める大きさまで分解してあげる】というステップが必要なのです。
〈同じ景色〉が相手に見えるように説明する。
じゃあ、どのくらいの大きさまで【分解】してあげる必要があるのか?
僕が考えているのは【自分が見ている〈景色〉が相手にも見えるまで】だと考えています。
例えば、仕事で「店頭に商品を出しておいて欲しい」という指示を出す場合。
下の指示は全て同じ意味の指示です。
- あれやっておいて。
- 商品の出庫作業やっておいて。
- 在庫が減っている商品の出庫作業やっておいて。
- 接客しながら店内を見て回りつつ、在庫が減っている商品の出庫作業やっておいて。
- お客さんと会話するのも大事だけど、商品が常に十分に店頭に並ぶ状態を保つのも大事。だから、接客しながら店内を見て回りつつ、在庫が減っている商品の出庫作業やっておいて。
下に行けば行くほど指示の〈詳細〉がイメージできませんか?
「これから自分は何をすればいいか?」
「上司は何をしてほしいと求めているのか?」
これらがより鮮明に思い描けるようになりますよね?
1の指示で全てを汲み取れるめちゃくちゃ優秀な人もいます。
ですがそうでない部下に対しては、
「この子は3まで細かく伝えようかな?」
「今回初めてする指示だから5まで丁寧に伝えようかな?」
のように上司が判断することが必要です。
どこまで詳細を話せば相手も〈同じ景色〉が見えるか?
自分と相手の見える【景色】を揃えるほどコミュニケーションの食い違いが減っていきます。
その視点を持ってコミュニケーションを取ることが重要です。
言葉の【分解力】を高めるために必要な〈ボキャブラリー〉。
ここまで、教育者が言葉を【分解】して伝えることの重要性をお伝えしてきました。
では、ここからは〈どうすれば【分解力】を高めていけるか?〉ということについてお話ししていきます。
結論から言うと、【分解力】を高めるために必要なのは〈ボキャブラリーの多さ〉です。
米津玄師やあいみょん、Mr.Children等、世の中にはたくさんの魅力的なアーティストがいますよね?
彼らの彼女らの曲って、使われている〈言葉〉がとても多彩でいろんな景色が見えてきますよね?
なるけん
使える〈言葉〉が増えると、それと比例して〈表現できる世界〉も広がっていきます。
〈表現できる世界〉が広がれば相手に見せられる【景色】も増えていくんです。
知らない業界に触れて〈言葉〉を集める。
じゃあ、自分が使える言葉を増やすためにはどうすればいいのか?
そのための材料は、今、世の中には溢れかえっています。
書籍やYouTube、ラジオや漫画、映画や音楽、身近な人たちとの会話の中……
上げていくとキリがないです。
言葉の引き出しを増やす〈手段〉はたくさんあります。
大切なのは、幅広く手をつけてみることです。
僕が会社で教育をしていく後輩たちはそれぞれ〈趣味〉をもっています。
漫画、カフェ巡り、声優、ジャニーズなど様々ですが、自分がその分野に触れて【業界の言葉】を仕入れておけば情報の伝わりやすさは跳ね上がります。
〈漫画〉が好きな後輩には〈漫画〉の話を使いながら教育するんです。
〈カフェ巡り〉が好きな後輩には〈カフェ巡り〉の話を使いながら教育するんです。
〈声優〉が好きな後輩には〈声優〉の話、〈ジャニーズ〉が好きな後輩には〈ジャニーズ〉の話をするんです。
僕が好きなのは〈ビジネス〉や〈クリエイティブ〉のお話しです
ですが、そこで学んだ情報だけでは後輩たちに響く〈言葉〉は集まりにくいです。
だから〈言葉の引き出し〉を増やすために〈少女漫画〉を読んだり、〈ジャニーズ〉の映像を見たり、〈2.5次元の舞台〉を見に行ってみたり、〈勧められた漫画や映画〉を観たり、いろんな世界に触れるようにしています。
業界に触れた人だけが分かる【共通言語】も存在するので、そんな言葉は重点的に理解しようと努めています。
後輩たちの興味のある分野に触れて同じ話ができるようになると、一気に〈同じ景色〉を観やすくなります。
〈言葉〉が集まったことで自分が表現できる世界も広がるので一石二鳥です。
信頼される上司になるための5ポイント。
ここまでの話をおさらいすると下記の4点です。
- 教育者に求められるのは【言葉の分解力】
- 自分と〈同じ景色〉が見えるまで上司が言葉を噛み砕いてあげる。
- 【言葉の分解力】を高めるためには〈使える言葉の数〉を増やすことが大切。
- 〈使える言葉の数〉を増やすためにいろんな業界に触れよう。
ここまでは教育者の【大前提】です。
全てやっていて初めて〈教える土台〉ができたと考えてください。
その上で、ワンランク上の【信頼される上司】になっていくためにはどうすればいいでしょう?
僕がこれまで出会ってきた【信頼されている上司】や【反面教師にしている上司】を振り返り、5つのポイントにまとめてみました。
① まずは自分が分解して理解する。
当たり前のことですが、自分が理解することができて初めて人に教えることができます。
ですが、社会に出ると〈自分が分かってもいないことを部下に指示している人〉が結構存在しているんです。
- 挨拶をしなさい。
- 感謝をしなさい。
- これから接客を重点的に力を入れるから、接客のプロになってもらうよ。
- キラキラした存在になって引っ張りなさい。(←過去、本当に出くわしたことがある指示です)
こんな指示を後輩にした時、納得できない人なら▼のように質問されるでしょう。
- なんで挨拶をしないといけないんですか?
- なんで感謝をしないといけないんですか?
- 接触が避けられている中、なぜ今接客に力を入れるんですか?接客のプロになるためにはどうすればいいんですか?
- キラキラした存在にならないといけない必要性はあるんですか?
こんな質問が来た時にきちんと答えられますか?
僕の経験上、このような質問をしてくる人は
〈考える力のある人〉であり
〈少し先を思い描く想像力がある人〉であり
〈負けん気が強い人〉です。
こんな人たちは、きちんと納得させられて連携が取れるようになれば驚くほどの成果を出していくポテンシャルをもっています。
「はい、わかりました」と素直に従う人の方が指導はしやすいでしょうが、指示を待つ状態になりやすかったり、こちらが期待した成果を出せなかったりしやすいです。
上記のような質問があったとき、どうすればきちんと返答することができるでしょう?
それは、事前に自分が理解して準備しておくしかないですよね。
たとえ上層陣からの指示であったとしても〈なぜ、これをやらないといけないのか?〉を自分自身でもまず考えておく。
そして、自分が理解している状態で部下に指示を出す。
この【事前準備】をしているだけで伝わり方は格段に変わります。
② 〈やってほしい事〉だけでなく〈理由や根拠〉も伝える。
信頼されない上司の共通点として〈やってほしい事〉だけ指示して〈理由や根拠〉を伝えないという特徴があります。
部下の不満が溜まっていくのは、指示されたことに【納得】ができないからです。
〈やることの手順〉を覚えさせることは実はそれほど難しくはありません。
学校でずっとトレーニングしてきたことですから。
例えば、数学の〈因数分解〉ってあるじゃないですか?
練習すれば問題の解き方は覚えられるし、正解にもたどり着けます。
でも、
なるけん
って疑問が湧いてくる人、結構多いのではないでしょうか?
そうなると、やらないといけないから解きはするけど、なかなか前向きには取り組めないのではないでしょうか?
我慢して淡々とこなすだけの【作業】に変わってしまうので、不満が溜まって反発を招くのです。
そんな質問に対して自分なりの答えを提示できない人にありがちなのが
「嫌ならやめれば?」
「いいから難しく考えずにやりなさい」
といった【力技】でねじ伏せる言動です。
これだと、不満はさらに募るばかりです。
指示をするときは、必ず〈理由や根拠〉もセットで伝え、【納得して取り組める状況】を作ることに努めましょう。
理由や根拠のない指示は、ただの〈エゴの押し付け〉です。
③ 求めている結果を出せているか確認する。
僕がお手本にし尊敬している先輩方は、本当に部下のことをよく見ています。
なるけん
しっかり部下の行動を見ているからこそ結果の把握もできていて、部下の行動の微調整も簡単にできていました。
逆に、反面教師にしている先輩方は〈指示を出した後にほったらかし〉です。
ちゃんと部下を見ようとしていないので、やっていることが間違っていてもなかなか発覚しません。
間違っていることがわかって「何やってるんだ!」と怒り出す問題児上司だっているくらいです。
部下の失敗は指示をした上司の責任です。
失敗をしそうになったところで素早く気づいて、すぐに方向転換できるように手を打たなかった上司に問題があります。
指示をしたからには〈きちんと求めている結果が出せているか〉を確認してあげましょう。
④ フィードバックする。
上記の③とも繋がりますが、しっかり部下のことが見えていると的確なフィードバックができます。
失敗しそうになっている時も
「こうすると失敗するから、こんな感じで進めてほしい」
「こうした方が早く終わらせられるよ」
とよりよくできるよう改善点を伝えることができます。
そして大事なのは〈できていること〉もフィードバックするということ。
「覚えるの早いね!」
「ここ、上手にできてるね!」
「このやり方がすごく丁寧でいいね!」
みたいにできていることを伝えていくことによって、後輩も安心して続きの作業に取り組めるようになります。
上記の③ができていない人は、もちろんこの〈フィードバック〉もできていません。
だって、何をやっているのか見ていませんからね。
きちんと指示をした相手の挙動を見て、〈改善点〉も〈できている部分〉も満遍なく伝えていきましょう。
⑤ もっといい〈やり方〉があれば提案できるような場を作る。
何か指示を出すときは、求めている〈結果〉があるはずです。
欲しい〈結果〉に辿り着けるのであれば、そこに到達するまでの〈やり方〉はどんな形でもいいはず。
ですが、この〈やり方〉に拘っている上司が多いような気がしています。
考えながら行動をしていくと
なるけん
ってアイデアが出てくることがあります。
ですが、〈やり方〉にこだわる上司は『これがウチのやり方だから、このままやって』といった跳ね除ける反応をしがちです。
周囲からの信頼が厚い上司は皆【変化を歓迎している】という特徴があります。
組織にとって必要なのは〈結果〉です。
必要であれば、そこにたどり着く〈手順〉や〈やり方〉は変えていける【柔軟性】を持っている人にみんな集まります。
また、そのような【柔軟性】を持っている人は
もし提案を採用しない時でも
『今回はこういう理由で今までのやり方のままでいくようにさせてもらった』
『でも、提案してくれてありがとう!またいいアイデアがあったら遠慮なく意見ちょうだいね!』
のように、採用しない〈理由〉も明確で、次に意見をしやすい〈状況〉も作ってくれています。
提案しやすい〈場づくり〉は上司の配慮や声かけ次第で簡単にできます。
これができると、部下たちが仕事中に頭を使うようになり、自分の意見も伝えてくれるようになってきます。
後輩たちが育つ組織を作っていくためには、【上司の立ち回り】が重要なのです。
吸収するためには分解が必要。
赤ちゃんの頃って、いつも親が〈食べれる大きさ〉〈食べれる柔らかさ〉に【分解】してくれたものを用意してくれていましたよね。
なるけん
幼い頃から経験してきたように、吸収するためには【分解】が必須なのです。
そして、自分で【分解】する力がまだ付いていないときは周りのサポートが必要です。
たとえ社会人になって入ってきた人材であっても、学校で習ったり練習したりしていないのであれば〈初心者〉であり〈赤ちゃん〉です。
そんなときは、より〈経験〉を持っている人がきちんと【分解】し、飲み込める大きさに〈加工〉してあげることが必要なのです。
そして、徐々に【分解の仕方】を教育してあげればいいのです。
【土台づくり】は上司の責任。
まずは自分が噛み砕いて理解し、その上で小さな要素に〈因数分解〉して伝えていきましょう。
そうするだけできっと部下たちの反応も変わってきますよ。
ではでは。
なるけん
と、なるけんは思ったそうな。